「おおかみ」には、ピアノを使った演出があるのだ。

「おおかみ男のフローチャート」の会場である東中野RAFTには

ピアノがある。

確かに自分が観客として行ったときも、入口の近くにアップライトピアノ

があることに気づいていた。

そのときには、まさか自分がそのピアノを演出として使うことになるとは

考えもしなかった。

「おおかみ」では後半から第二の主役としてモーツァルトがクローズアップ

されてくるので、もともと音楽の要素が強い演目である。

その会場に最初からピアノが備え付けてあるなら、使わない手はないだろう。

しかも、主演の一人は特にピアノを弾ける人を募集していたわけではないのに、

なぜか現役ピアニストだったりする。

まるで「神の見えざる手」が透けて見えるようではないか。

さて、実際ピアノを使う演出といっても、どこでどう使えばいいものか。

実のところ、すでに弾いてもらう曲も、弾いてもらうタイミングも台本に

書いてある。

そのうちの1曲だけ公開してしまおう。

それは、ルロイ・アンダーソンの「シンコペーテッド・クロック」である。

曲名を聞いてもピンとこないと思うが、ほとんどの人がどこかしらで耳に

したことがあるはずの有名曲だ。

なぜこの曲なのかといえば、自分が好きな曲であるという以外に、劇中に

この曲名が出てくるシーンがあることと、夜行列車に引っ越して自由になった

はずなのに時間から自由になれないおおかみ男の滑稽さを象徴している気が

したからだ。

もう1曲は、勘が鋭い人にはすぐにわかってしまうかもしれない。

この設定を考えれば、あの曲は外せないだろう。

是非とも、本番で確認してほしいところである。

また、ピアノの演出については、榎本バージョンと高木バージョンで微妙な

違いがあるので、それも本番でのお楽しみなのだ。

 

 

ベルの音やタイプライターの音など、

くすぐったい遊び心があふれる名曲揃い。

「そり滑り」は泣きそうになる。

 

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