絶対わすれられない公演。

昨日、赤羽の十色庵で見たギジレンの「楽園-le paradis-」は、

いろんな意味で、わすれられない公演になった。

 

できるのにやらない難しさと、すごさ。

 

ネタばれを避けるためストーリーの説明はしないけれども、とにか

く、女装のおじさんや、おにいさんがメイン。

(そして予想以上に化粧っ気がない)

そんな、いくらでもギャグやコント方面に横すべりしてもおかし

くない設定でありながら、つねに絶妙のブレーキ感覚で、最後までストーリーを語りきる。

(笑わせる部分は、ほぼ一箇所にまとめてメリハリをつけていた)

自分は演出志望なので、どうしても演出側の見方になってしまうけ

ど、笑いをとって落ち着きたいところをこらえて見せきるというの

は、演出家として自信がないとできないし、何より強さがいる。

たとえば、落語家の前座が自信のなさからくる不安のせいで必死に

笑いを取ろうとするような浅はかさではなく、ふつうにしゃべって

るだけで面白いという真打ち的な強さに意表をつかれたし、安心し

て見ていられる役者さんたちの演技もふくめて、面白いものを見た

と、ほんとに思う。

 

役者さんに仕事を頼むのが仕事。

 

今回、篠原正明さん(ナカゴー)や、菊川耕太郎さん(カムカムミニキーナ

が客演しておられるように、脱兎も、いい役者さんだと思えばどんどん

仕事を頼んでいくしか先がない。

内容はもちろん、昨日の公演がわすれられないだろうと思うのは、

終演後、出演者さんたちに渡せるだけの名刺を渡せたから。

終演後というお疲れのところ恐縮ではありながら、何のツテもない

身としては、ときに無理矢理にでも縁をつくっていくしかないの

だ。

主宰の佐藤辰海さんと名刺を交換した!

 

自分が思っていた通りのイメージの役者さんがそこにいたので、脱

兎はその方に出演を依頼することになるけども、もちろん、主宰の

佐藤辰海さんに全日程終了後、正式に客演を申し込む旨の話を通

し、なんと名刺までいただいてしまった!

生まれて初めてもらった劇団主宰者の名刺。

さらに、こんな名もなき人間の話を聞いてくれた佐藤さんのやさし

さをわすれられるわけがない。

佐藤辰海さん自身による
当日パンフレットの
オモテ。
ウラ。
手書きの文字が
熱い。