演劇を続けていく上で、動員が増えていくことはもちろん大目標
ではある。
かといって、演劇の興行形態では最大動員数が上がる一方という
ことにはどうしてもならない。
演劇は、そこでしかできないことであって、映画のように同じ作品を
同時に複数の場所で公開できないという宿命があるので、動員数だけ
では映画に勝ち目はない。
逆に、そこでしかできない、ここでしか観ることができないという
演劇の特色を生かしていくことが、演劇が生き残るために必要な
ことになるだろう。
脱兎も目標としているのは公演を続けていくことであって、最大
動員数を上げ続けることではない。
いかに大きな劇場でやるか、というのも目標にはならない。
観客として観てきた立場からいっても、(例えできる状況になったとしても)
役者の表情と指先の演技が見えない距離感の場所ではできないし、
いつか観た舞台で、これを小劇場で観たらもっと面白かっただろうなと
思ったこともある。
そういうわけで、脱兎はひたすら大きな劇場を目指すこともなく、
ひたすら水準以上の作品を出し続けることを目標にしたいと思う。
結局のところ、作品力しかない。
頼れるものは、ずっとそれだけだ。
しかも、水準のものではだめで、常に水準以上のものを出し続けなければ
ならないというところが、ほんとにいばらの道はバラ色なのかと思いたく
もなる。
とにかく、よく見える劇場を選んで、必ずチケットを売り切り、動員数ではなく、
全体的な価値を上げ続けていけるようになりたいと思う。
ロングラン公演にあこがれはあるが現実的ではない。
同じ作品より、ちがう作品をたくさんやりたい。
それだけ、アイデアが渋滞している。