今日は高田馬場ラビネストに劇団肋骨蜜柑同好会の
「草苅事件」を見に行った。
会場に入ると、観客全員に首からかけるパスを渡され
客席では記者に見立てられることになる趣向だ。
舞台は最初から最後まで、とある文学賞の記者会見場で
進行する。
ひとつの受賞作品をめぐって二転三転する展開があり、
時間が経つにつれ引き込まれていく内容なのだが、
10人以上の登場人物がほとんど舞台に出ずっぱりという
脚本的にも演出的にも力量を試されるハードな舞台だった。
こういう芝居を見ると、自分だったらこれだけの人数の
登場人物をしっかり描き分け、過不足なく動かすことが
できるだろうかとどうしても思ってしまう。
自分の場合、次々に新しい人物が出てくる話を考えるのが
苦手で、「おおかみ男のフローチャート」や「聖三角地帯」
の登場人物が少ないのは実は偶然ではない。
話を考えるときに多彩な人物像を描き分けるのを面倒がって、
自然に登場人物を減らそうとする悪い癖があるのだ。
今回の「草苅事件」では、その辺が見事にバランスよく
動いていたので、ほんとにうらやましく思えた。
芝居自体は現代口語演劇的なものではなく、熱量過多で、
長いセリフの応酬も含めて、キャラクターも演技も内容もとにかく濃厚だ。
そして、いつか脱兎でもこういう多人数出ずっぱりの芝居に挑戦したいという
刺激を与えてくれる舞台だった。
ところで、初めての高田馬場ラビネストは写真で見る印象より
はるかに老舗感が漂っていたのが妙に意外だった。
高田馬場ラビネストの客席。