宮崎駿監督経由サン=テグジュペリ行き。

あの公演直後の虚脱状態というか、ある種の情緒不安定な中で

何度となく繰り返し見てしまったドキュメンタリー番組がある。

「世界・わが心の旅~サン=テグジュペリ大空への夢」だ。

宮崎駿監督がもっとも影響を受けたという作家で飛行機乗りでも

あったサン=テグジュペリの姿を追いかける。

監督は真っ赤な旧式のプロペラ機に乗り込み、当時サン=テグジュペリが

郵便飛行機の操縦士として飛んだ航路を同じようにたどっていくわけだが、

その合間合間にはさまれる監督のコメントがすべて胸に刺さってくるのだ。

それは監督自身が学生のころに何度も読んだというサン=テグジュペリの

「人間の土地」についての感想で、それはまさに今自分がもっとも

言われたい言葉でもあった。

「この場所に留まってはいけないという気になる」

サン=テグジュペリも含め、当時の安全性の低い飛行機で仲間がつぎつぎに

事故死してゆくなか、それでもまた飛び立とうとする飛行機乗りたちの勇気と

行動力はどこから来るのだろうか?

このドキュメンタリーを見ていると、その勇気の源泉に対する想像力をかき立て

られて、自分もこの地上にいながら同じような勇気と行動力を持ちうるのだろうか、

と考えずにいられなくなる。

このドキュメンタリーは、この先ずっと見続けることになりそうだ。

この番組をDVDにしたことは、ジブリの隠れた業績だと思う。

 

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